網膜の病気があっても、白内障手術は多くの場合可能です。ただし、まず網膜の精密検査を受ける必要があります。 加齢黄斑変性・糖尿病網膜症・黄斑上膜などがある場合、検査で病気の活動性、期待できる視力の改善、追加治療の必要性を確認し、手術の時期・眼内レンズの選択・術後の経過観察計画の3つを決める手がかりにします。

医学監修:Dr. Park JinHeung(St. Mary’s Jin Eye Center 院長/眼科専門医・医学博士/ソウル聖母病院 兼任教授)・最終更新 2026-10-09

白内障手術は、濁った水晶体を透明な人工のレンズ(眼内レンズ)に置き換える手術です。光は網膜に焦点を結び、網膜の中心にある黄斑が、文字を読んだり人の顔を見分けたりするための細かい中心視力を担っています。網膜が健康でない場合も手術そのものは通常同じですが、手術の前後の計画が変わります。この記事では、公表された研究をもとに何が変わるのか、そして海外からソウルに来られる方が出発前に準備すべきことを説明します。

網膜の病気があっても白内障手術は受けられますか?

多くの場合、受けられます。手術の時期は網膜の病気の種類と活動性で決まり、術後の視力は新しいレンズだけでなく、黄斑・網膜・視神経の状態に左右されます。

コクラン・レビュー(2017年)は、加齢黄斑変性のある人の白内障手術について2件のランダム化比較試験(計114人)を検討しました。そのうち1件では、すぐに手術を受けた人のほうが手術を延期した人より6か月後の矯正視力が良好でしたが、長期的な利益と害は不確かだと結論づけています。米国眼科学会(AAO)のガイドラインも、併存する網膜疾患の管理を改善することを白内障手術の理由の一つに挙げています。

期待値の確認も大切です。黄斑や視神経がすでに傷んでいる場合、白内障を取り除いても正常な視力に戻らないことがあります。そのため、まず網膜を検査し、見込まれる結果を手術前に説明します。

網膜の病気がある白内障手術で変わること:加齢黄斑変性・糖尿病網膜症・黄斑上膜
網膜の病気ごとに変わること。6.2倍・5.6倍は英国の研究による相対リスクで、個人の確率ではありません。

白内障手術の前に、なぜ網膜検査をするのですか?

通常の診察では見落とされる黄斑の変化を見つけるためです。濃い白内障があると黄斑の変化が隠れることがあり、OCT(光干渉断層計)は黄斑が正常に見えても細かな構造の変化を示すことがあります。

AAOのガイドラインでは、手術前に散瞳して水晶体・硝子体・黄斑・周辺部網膜・視神経を診察することが含まれており、OCTは黄斑中心部と併存する網膜疾患の評価に役立つとしています。

OCTで実際にどのくらい見つかるのでしょうか。ASCRS 2018で発表されたブラジルの研究では、手術予定の1,060眼のうち952眼が通常の診察で正常でしたが、そのうち4.9%でOCTにより異常が見つかり、その3分の2は黄斑上膜でした。2026年の日本の研究(316眼)では、OCTで予想されていなかった黄斑病変が30眼(9.5%)に見つかり、高齢の方ほど多く、3眼(1.0%)は追加治療や手術計画の変更が必要な臨床的に重要な所見でした。頻度は対象となる患者さんの年齢や選び方によって異なります。

検査わかること白内障手術との関係
散瞳眼底検査黄斑・周辺部網膜・視神経網膜裂孔、出血、糖尿病網膜症の進行度
黄斑OCT黄斑の断面を層ごとに表示黄斑上膜・黄斑浮腫・加齢黄斑変性。術後と比べるための基準になる
眼底写真網膜の写真記録糖尿病網膜症や加齢黄斑変性の経過の追跡

白内障がとても濃い場合はOCT画像が不鮮明になることがあります。眼底が見えない場合は、超音波検査(Bスキャン)で網膜剥離など眼の奥の大きな異常がないかを確認し(黄斑の細かな構造はOCTの代わりにはなりません)、黄斑のOCTは手術後に再検査することがあります。

白内障手術前に網膜OCT検査を受ける様子と黄斑の断層画像
網膜OCT検査のイメージ。黄斑の断面を層ごとに確認します。

加齢黄斑変性がある場合、何が変わりますか?

手術は多くの場合可能です。大規模な研究では、白内障手術と後期加齢黄斑変性への進行との間に意味のある関連は示されていません。滲出型の場合は、病気が落ち着いている時期に、抗VEGF注射の治療と調整して手術を計画します。

米国のAREDS2研究(Ophthalmology 2022)は、平均約9年の追跡期間中に白内障手術を受けた1,767眼を解析し、後期加齢黄斑変性のリスクに統計的に有意な増加は見られませんでした。ただしAREDS2は、もともと進行リスクのある人を対象とし、手術時点で後期の病変がない眼を解析しているため、進行した病気のすべての患者さんにそのまま当てはめることはできません。英国の81,984眼の研究でも、加齢黄斑変性は術後黄斑浮腫の独立した危険因子ではありませんでした。滲出型(新生血管型)加齢黄斑変性では、手術前にOCTで病気の活動性と網膜内液・網膜下液などの滲出性変化を評価し、病気が十分にコントロールされている時期に、継続中の抗VEGF治療と調整して手術を計画するのが一般的です。術後も定期的な網膜検査を続けます。

抗VEGF注射を受けている方は、治療日と最近のOCT結果を送ってください。執刀医が主治医の網膜専門医と治療を調整できます。

糖尿病網膜症や黄斑上膜がある場合、何が変わりますか?

術後に黄斑浮腫が起こるリスクが高くなるため、まず黄斑を確認します。黄斑浮腫がある場合は、その程度と活動性を評価し、症例に応じて白内障手術の前、手術時期に合わせて、または術後に網膜の治療を勧めることがあります。

英国の研究(Chu ら、Ophthalmology 2016)では、合併症・糖尿病・その他の危険因子がない眼の術後黄斑浮腫の発生率は1.17%でした。これらの眼と比べると、網膜症のない糖尿病では約1.8倍、糖尿病網膜症では約6.2倍(重症になるほど高い)、黄斑上膜では約5.6倍でした。予防的に非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の点眼を受けた眼は研究から除外されています。これらは相対リスクであり、個人の確率ではありません。

状態術後黄斑浮腫の相対リスク一般的な方針
危険因子なし基準(発生率1.17%)通常の経過観察
糖尿病(網膜症なし)約1.8倍散瞳検査で網膜症がないことを確認
糖尿病網膜症約6.2倍(重症ほど高い)黄斑浮腫の確認。必要なら網膜の治療を先に行い、抗炎症点眼を検討することもある
黄斑上膜約5.6倍OCTで程度と網膜治療の必要性を判断
網膜静脈閉塞症の既往約4.5倍現在の黄斑を確認し、術後の浮腫に注意
ぶどう膜炎約2.9倍炎症が落ち着いている時期に手術

出典:Chu ら、Ophthalmology 2016(英国、81,984眼、後ろ向き研究。予防的にNSAIDを使用した眼は除外)。相対リスクは危険因子のない眼との比較です。

黄斑上膜の場合、大切なのは「どちらが視力低下の主な原因か」です。膜の影響が小さく白内障が主な原因なら、白内障手術を先に行い黄斑を経過観察できます。膜が黄斑をゆがめている場合は、白内障手術だけでは期待した結果が得られないことがあり、網膜治療の必要性と順序を相談します。

網膜の病気があっても多焦点レンズを選べますか?

病気が黄斑に及んでいる場合、回折型多焦点レンズは勧められないことが多く、代わりに単焦点などのレンズを検討します。多焦点レンズは光を複数の焦点に分けるため、黄斑の機能が弱い眼では不利になることがあります。

韓国の網膜専門医111人を対象とした調査(J Clin Med 2022)では、回折型多焦点レンズについて、滲出型加齢黄斑変性と黄斑浮腫を伴う増殖糖尿病網膜症では回答の中央値が「完全に反対」、黄斑上膜では「やや反対」(52.3%が反対)でした。格子状変性やレーザー治療済みの網膜裂孔では80%以上が抵抗なしと答えています。これは専門家の意見であり手術成績の比較ではないため、最終的な選択はご自身の検査結果に基づいて決めます。

海外から韓国で白内障手術を受ける場合、どんな計画が必要ですか?

網膜検査・手術・少なくとも術後3日目の診察までの時間を確保し、できればソウルに約1週間滞在してください。出発前に網膜の資料を送り、帰国前に現地での経過観察を手配しておきましょう。

段階St. Mary’s Jin Eye Center での流れ
出発前最近の網膜の診断書・OCT画像・眼底写真・注射/レーザー治療歴・HbA1c(糖尿病の方)を jin.eye.center@gmail.com に送ると、事前に確認します
検査当日眼科検査 約1時間、説明・同意 約1時間。一部の方は同日手術が可能な場合があります。網膜の病気が活動中・黄斑浮腫がある・追加治療が必要な所見がある場合は、別の日の受診や日程の変更が必要になることがあります
手術後院内で30分〜1時間ほど休み、状態を確認してからホテルへ戻ります
滞在経過が順調で執刀医が確認した場合、術後3日目の診察後に帰国できる方もいます。約1週間の滞在をお勧めします。網膜の病気が活動中、または追加の網膜治療が必要な場合は、さらに長い滞在が必要になることがあります
費用単焦点レンズの白内障手術は片眼 1,500,000ウォンから。最終的な費用は精密検査後に確定し、選ぶレンズによって変わります

コンタクトレンズ:目安として、ソフトは5日、ハード(RGP)は2週間、オルソケラトロジーは4週間、検査前に中止してください。長期間ハードやオルソケラトロジーを使っていた方はさらに長く必要なことがあり、角膜の測定値が安定してから最終的なレンズの測定を行うため、日程は事前に当院へご確認ください。費用は精密検査後に確定します。

白内障手術後の黄斑浮腫は、手術の数週間後、一般的には4〜6週ごろに起こることが多いですが、それより早くまたは遅く現れることもあります。糖尿病網膜症がある場合は、もともとの黄斑浮腫が悪化することもあります。帰国後に起こることも多いため、韓国を出発する前に、帰国後の経過観察を担当する眼科医または網膜専門医の診察を予約し、視力が変化したときの連絡先を決めておいてください。

手術後、どんな症状ならすぐ受診すべきですか?

視野にカーテンや影がかかる、または急に視力が落ちた場合は、すぐに救急で眼科を受診してください。飛蚊症(黒い点や糸くず)が急に増えた、稲妻のような光が見える(光視症)、新たにゆがんで見える、中心が見えにくい場合は、その日のうちに眼科を受診してください。

手術後の症状考えられる原因受診のタイミング
いったん良くなった視力が再びかすむ黄斑浮腫、炎症、眼圧上昇、その他の合併症当日。急に、または強く悪化した場合はすぐに(救急)
新たにゆがむ・ゆがみが強くなる、中心が見えない黄斑浮腫、滲出型加齢黄斑変性当日。中心視力が急に、または強く低下した場合はすぐに(救急)
黒い点や糸くずのようなもの(飛蚊症)が急に増える、稲妻のような光が見える(光視症)網膜裂孔・網膜剥離当日、遅れずに
視野の一部にカーテンや影がかかる網膜剥離すぐに(救急)
強い痛み、著しい充血、急な視力低下(どれか一つでも)感染(眼内炎)などすぐに(救急)

すでに帰国している場合は、お近くの救急眼科を受診してください。手術を担当した執刀医の指示が優先されます。

よくある質問

加齢黄斑変性があっても白内障手術を受けられますか?

多くの場合、受けられます。米国の大規模研究(AREDS2)では、その研究対象者において、白内障手術による後期加齢黄斑変性への進行リスクの有意な上昇は見られませんでした(進行した病気のすべての方にそのまま当てはまるわけではありません)。視力がどれだけ改善するかは黄斑の状態によります。滲出型の場合は、病気がコントロールされている時期に、注射治療と調整して手術を計画します。

糖尿病網膜症がある場合、白内障手術の主なリスクは何ですか?

術後に黄斑がむくむ黄斑浮腫です。英国の81,984眼の研究では、糖尿病網膜症のある眼は危険因子のない眼の約6.2倍のリスクでした。そのため手術前に網膜を確認します。糖尿病黄斑浮腫がある場合は、その程度と活動性を評価し、症例に応じて白内障手術の前、手術時期に合わせて、または術後に網膜の治療を勧めることがあります。

白内障手術の前に、なぜOCT検査が必要なのですか?

OCTは、通常の診察では見落とされる黄斑の細かな構造の変化を示し、濃い白内障はそれをさらに隠すことがあります。ブラジルの研究では、通常の診察で正常に見えた眼の4.9%でOCTにより異常が見つかりました。別の日本の研究では、術前検査を受けた316眼の9.5%で、予想されていなかった黄斑病変が見つかりました(2つの研究は対象と分母が異なります)。所見の重要度によっては、手術の時期・レンズの選択・経過観察の計画に影響することがあります。

網膜の病気があっても多焦点レンズを選べますか?

病気が黄斑に及んでいる場合、回折型多焦点レンズは光を複数の焦点に分けるため、勧められないことが多いです。韓国の網膜専門医の調査では、滲出型加齢黄斑変性と黄斑浮腫を伴う増殖糖尿病網膜症で回答の中央値が「完全に反対」でした。その場合は通常、単焦点などのレンズを相談します。

白内障手術後、韓国にどのくらい滞在すればよいですか?

St. Mary’s Jin Eye Center では、経過が順調で執刀医が渡航を認めた場合、術後3日目の診察後に帰国できる方もいます。約1週間の滞在をお勧めします。網膜の病気が活動中、または追加の網膜治療が必要な場合は、さらに長い滞在が必要になることがあります。白内障手術後の黄斑浮腫は数週間後、一般的には4〜6週ごろに起こることが多いため、韓国を出発する前に、帰国後の経過観察を担当する眼科医または網膜専門医の診察を予約してください。

受診前に何を持参・送付すればよいですか?

最近の網膜の診断書、OCT画像と眼底写真、注射やレーザー治療の日付と内容、糖尿病のコントロール状況(例:HbA1c)、現在使っている点眼薬です。予約前に jin.eye.center@gmail.com へメールで送っていただくと事前に確認します。最終的な判断はソウルでの検査後に行います。

ご来院の案内

St. Mary’s Jin Eye Center:ソウル特別市瑞草区江南大路337(1階・4階・5階)— 江南駅5番出口から徒歩約5分。診療時間:平日 09:00–18:00(昼休み 13:00–14:00)、土曜 09:00–15:00(韓国時間)。電話 +82-2-577-7782。

詳しくは白内障・老眼手術のページ、海外の患者さま向け案内をご覧いただくか、予約のお申し込みからお問い合わせください。

参考文献

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  2. Olson RJ et al. Cataract in the Adult Eye Preferred Practice Pattern. American Academy of Ophthalmology, 2016. 出典
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  8. Lally DR, Shah CP. Pseudophakic cystoid macular edema. Review of Ophthalmology 2014. 出典

この記事は一般的な医学情報であり、個別の診断に代わるものではありません。手術の可否と時期、適したレンズは、精密検査のうえで眼科専門医が判断します。すべての手術には合併症の可能性があります。費用と日程は変更されることがあり、検査後に確定します。

박진형 대표원장

안과전문의 의학박사 M.D., Ph.D.

  • 가톨릭의대 안과학교실 외래교수
  • 대한안과학회 정회원
  • 서울성모병원 안과 전공의 수료

 

본 포스팅은 박진형 대표원장이 직접 검토하고

감수하여 작성한 정확한 의학 정보입니다.

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